Chuo University RAC

2024年度 タイ支援

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はじめに

私たち中央大学ローターアクトクラブは、これまで5年間タイの貧困地域を支援してきました。
支援当初からの貧困地域における子供たちの「現地での自立」という目標を引き継ぎ、2024年度も実際に現地へ渡航し、支援活動を行ってきました。

今回の支援のスローガンは『タイに住むアカ族の子供たちへ本を届けたい』です。このスローガンのもと、2024年2月1日から2月7日にかけ国際奉仕メンバー8名でタイへ渡航いたしました。

アカ族と支援背景について

支援を行ったアカ族の人々は、タイ社会への適応の難しさと貧困に直面しています。またタイ語の習得
はアカ族の人々がタイ社会に生きる上での一つの壁となっていて、これにはいくつかの理由があります。
・タイには、南北間において大きな経済格差が存在している。とりわけタイ北部には十分な
教育が行き届いておらず、山岳民族「アカ族」の子供たちの教育機会も限られている。
・彼らの両親は、ミャンマーでの紛争や迫害などを避けタイへ移動してきたため、タイ語の
識字能力は十分ではない。
・学校は村営であり、政府からの資金的援助が行き届いていない。

こうした問題の解決に向け私たちは、「幼少期の読書」に注目しました。小さい頃に本を読むことは、「識字率の向上」という教育的意義はもとより、子供たちの精神的成長を育み「生きる糧」となるからです。さらに、持続的な支援という意味でも、書籍は子供たち自身が読み続けられるという点において優れています。

他方、現地の需要を聞き取り、「その日の暮らし」を支える支援も必要です。経済的な理由により十分な生理用品の購入ができない女性への援助は必要不可欠です。また、ガソリン代高騰によって彼らの収入源となる中国への輸出産業は大きな打撃を受けています。生計への影響は大きく、保存がきく干物・香辛料は彼らの生活に大きく役立ちます。

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支援について

支援内容についてご紹介いたします。

事前準備①

物資調達

古本を集める活動を行っているNGO団体に声をかけたり、図書館に実際に足を運んだりして、絵本を集めました。集めた絵本の中から、抜粋した約100冊の絵本を一冊ずつ手作業でタイ語に翻訳し、現地に持っていきました。

また、普段読書の習慣がない子供たちにも絵本を気軽に手に取ってもらえるよう、視覚的にも楽しめるポップの作成も行いました。

事前準備②

資金調達

食糧や物資などの支援に必要なものを調達するための資金は、街頭募金クラウドファンディングを行って集めました。

街頭募金は立川駅と中野駅で2回行いました。

クラウドファンディングは、2023年11月30日から12月31日までの1ヶ月の間、READYFORサイトを利用し、all-or-nothing方式で目標金額350,000円で実施しました。28名の方にご支援いただき目標金額を達成することができました。たくさんのご協力ありがとうございました。

現地支援①

ニコム小学校

約170名の生徒が在籍しているニコム小学校にて支援を行いました。

事前に翻訳した日本の書籍約100冊に加え、「現地目線」からの奉仕が最重要であるという点から、現地教員にタイ語の絵本を約200冊選定していただきました。図書ブースの設営に関しても、現地教員との密なコミュニケーションをとりながら決定しました。書籍寄贈以外にも、国際交流生理用品等物資の寄贈を行いました。とりわけ、国際交流では、読み聞かせと折り紙、大縄を用意しました。

現地支援②

ホン・サンマイ幼稚園

ホイ・サンマイ幼稚園には、15人ほどの園児がいます。ここでは、低学年用に選別した書籍と現地職員に事前に購入をお願いしていたお菓子を寄贈しました。子供たちはお礼にと可愛らしいダンスを披露してくれました。

なお、現地に到着してから幼稚園でのコロナウイルス流行を知るところとなり、実際に会えたのは一部の園児のみでした。

現地支援③

センスック寮

センスック寮には、ニコム小学校に通う約64人の子供たちが暮らしています。多くは家族がいない、或いは人身売買される恐れのある子供たちです。この寮をきりもりしているのは、一家族5人で、経営は非常に困難なものとなっています。以下が支援内容一覧です。

  • 食糧支援:山奥では流通が限られており、調達するのが困難な乾物など
  • カレーの炊き出し:朝5時、地元の市場へ食材を買いに出ました。カレーの材料の他にも、寮母さんが必要としている食材と、タイでは高級品のりんごを子供たちへのプレゼントにと購入しました。帰ると、センスックに暮らす約60名分のカレーを子供たちと共に調理しました。
  • 物資寄贈:サッカーボールや大繩などのスポーツ用品と洋服などの日用品
  • 国際交流:私たちは日本の太鼓を、アカ族の子供たちは伝統舞踊を披露しました。実際に楽器や踊りを体験し、お互いの文化を知る非常に貴重な機会になりました。

現地支援④

ワカタケ寮

ワカタケ寮では主に大学生が暮らし、人数は8名
ほどです。ここでは生理用品を寄贈しました。

また、夜にはワカタケ寮に住むアカ族の学生と寮長さん、寮長さんの姪と対談する機会をいただきました。

タイの経済格差などの問題や、貧困地域の現状、アカ族の未来についてなどについてお話ししていただきました。

現地支援⑤

教会訪問

ワカタケ寮付近の教会(カトリック)を訪問しました。教会ではお菓子をプレゼントし、アカ族の子供たちは音楽セッションを披露してくれました。

タイの文化に肌身で触れることが出来た素敵
な時間になりました。

現地支援⑥

ダムロン高校

ダムロン高校は、本支援にご協力をしてくださった原田義之さんが日本語クラスの教鞭をとっている学校です。ここでは、日本語書籍を寄贈しました。

図書の寄贈とともに、原田さんが受け持つ日本語の授業にも参加しました。私たちは事前に、日本文化を伝えるに相応しい写真を用意し、各班に一人ずつメンバーがつき、簡単な日本語でその説明を行いました。
高校生たちも日本文化が大好きなようで、好きな日本の音楽やアーティストを熱心に説明してくれました。また、タイでの流行や有名アーティストも知ることができ、双方の文化を学ぶ有意義な時間となりました。活気のある高校生たちと交流することができて、私たちの刺激にもなりました。

おわりに

奉仕活動とは「他者を想い行動すること、関わる誰もが与え、与えられる存在となり、幸せの循環を生み出す活動である」と信じています。私たちは奉仕活動を通して、受益者の生活の支えとなったり、夢を与えられるような存在になったりすると同時に、現地の人たちの笑顔やたくましく生きる姿は私たちにパワーや新たな価値観を与えてくれます。そして最終的には人と人とのつながりは残しつつも、現地が支援を必要とせず自走できる社会を実現していくことが私たちのゴールだと考えています。

街頭募金をはじめクラウドファンディングなど資金調達を通し、我々の活動は周囲の方々に支えられ成り立っていることを改めて実感いたしました。ご賛同いただきご支援くださった皆様に心より感謝申し上げます。誠にありがとうございました。

今年度の活動をもって中央大学RACのタイ奉仕プロジェクトは終了となります。これまで私達の活動を長らく応援してくださった皆様、誠にありがとうございました。皆様の応援のおかげで私たちは世界の誰かを笑顔にできる活動とかけがえのない経験をさせていただきました。来年度からはまた新たな地域で私たちの活動を必要とする人々に支援を行ってまいります。今後とも中央大学RACをよろしくお願いいたします。

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